24年8月企画【映画が切り取るパリの顔】
こんにちは、夏目です。「徒歩5分の映画館」へようこそ!
当館は「映画館をより身近に。動画配信サービスをより快適に」をコンセプトにした架空の映画館です。観たい映画があるから毎日がちょっと楽しみになる。そんなサイトを目指していきますので、良かったらお立ち寄りくださいね。
こちらの記事で「徒歩5分の映画館」について詳しい紹介をしています。
→coming soon!
8月に入りましたね。
夏祭りも始まり、さぁ夏本番!なこの頃。我が家も早速近所の公園で開催された夏祭りで夏気分を堪能してきました。フィナーレは周辺地区の盆踊りグループ(?)のご婦人たちによる盆踊り。「自由参加」のプラカードを掲げた青年たちが「どうぞ、どうぞ!」と輪に誘ってくれたのですが、子供たちが恥ずかしがっていたこともあり、のんびり見学させて頂きました。
飛び入り参加する人いるのかなー?なんて思っていましたが、あれよあれよという間に大きくなる盆踊りの輪。同じ音楽に合わせて踊る時に感じる一体感は人間にとって根源的な感情なのかな、なんて感じました。
そして今年パリではオリンピックが開催されていますよね。
という事で今月の企画は【映画が切り取るパリの顔】と題して3本の作品を集めてみました。
でもね、最初に書いておくことがありまして、、、
実はワタクシ、数々の名作映画の舞台となったパリという都市を全く分かっていませんでした~!
調べてみるとパリの大きさは東京都にある山手線の内側くらいで、中心から1区、2区、3区と時計回りの渦巻き状に20区まで区画されています。意外に小さい!
そして、この20区プラス2つの森がパリなんですね。
そもそも今月の企画を「パリ」にしたのは、今月限定公開されている「宝島」を撮ったギヨーム・ブラック監督が大好きで、このサイトでも是非「宝島」を紹介したい!と思ったからなのですが、この作品の舞台となったセルジー・ポントワーズにあるレジャーアイランドはパリから30kmも距離がありました。東京都心から30kmは大体横浜くらい、、、。と考えると近くはないですよね。。。
ついつい「パリ近郊のセルジー・ポントワーズを舞台にした」という「宝島」の作品説明につられて「パリ映画」の企画を考えてしまいましたが「宝島」は全く「パリ映画」ではない、、、!
でも「宝島」が大好きな映画だったことと、今月パリオリンピックが開催されたことを(勝手に)考慮して【映画が切り取るパリの顔】企画を強行することにしました!どうか、どうか暖かな目で見守ってください。
ズラズラと長い言い訳はここまでにして、今回の失敗は次回からの企画に活かします!
改めまして今月の3本はこちら!
- 「宝島」ギヨーム・ブラック監督
- 「パリタクシー」クリスチャン・カリヨン監督
- 「パリ13区」ジャック・オーディアール監督
です。初めにあげた「宝島」は現在東京都渋谷区にある映画館「ユーロスペース」で開催されている【ギヨーム・ブラックの夏】からの1本。
ギヨーム・ブラックは大好きな映画監督なので”単館のみで開催されている特集上映からの1本=限られた人しか見れない”という事を理解しつつ、どうしても紹介したい!という欲に抗えませんでした。
東京近郊、に住んでいる方は是非是非渋谷区にあるユーロスペースに足を運んで頂けたら嬉しいです!
【宝島】
先日、家族でお台場にあるレゴランドに行ってきました。
この東京湾に浮かぶ人工の島を訪れるたびに感じる淋しさ、廃れ行く
この作品は一応「ドキュメンタリー」として紹介されているのですが、実際に観てみるとちょっと演出が加わっていたり、演技しているのかな?と感じる部分もあるんです。
ギヨーム・ブラック監督もインタビューで「本当の意味でドキュメンタリーとして、実際にあった場面をそのまま撮ったところと、ドキュメンタリーに演出を加えて、もう一回、今やったことをやってみてくださいと言って、シーンを繰り返してもらったり、ちょっと私が挑発をして何かをやってもらったりということはありました。この作品ではそのように異なる成り立ちのシーンが混在しています」と答えています。
作品情報
- 2019年製作/97分/フランス
- 原題:L’ile au tresor
- 劇場公開日:2024年7月27日
- 監督:ギヨーム・ブラック
【パリタクシー】
ここからは配信で視聴可能な作品の紹介です。
2本目はうだつの上がらない中年タクシー運転手が、老人ホームに向かうマダムを乗せたことから始まる物語「パリタクシー」です。
実はこの作品、とっても気になっていたのに劇場公開した2023年4月に見逃していた映画でした。
なぜ気になっていたかと言うと、上に乗せたフライヤーのワンカットや予告編から感じられる”ほっこり系映画”でも”ハートフルなストーリー”でもない。というか全くそんな映画ではない!という感想をちらほら聞いていたからなんです。
そして今回ついに配信で観ることが出来たのですが、これはもうビックリ!ホントに全然ほっこりハートフル、心がポカポカなんて作品ではありませんでした。でもとってもおススメな1本なんです。
この作品の何が衝撃的なのか。ここについてはもちろん言及するわけにはいきませんので、楽しみにしていて欲しいのですが
「パリタクシー」というタイトルから期待される”スクリーンでパリの街並みを眺めたい”という欲求も満たされること間違いなしです。車中から取られたエッフェル塔やシャンゼリゼ大通り、途中で立ち寄るカフェや橋、路肩のベンチも絵になっていました。
さらにこの作品が魅力的なのはフランスの人気コメディ俳優ダニー・ブーン演じるタクシー・ドライバーの変化とリーヌ・ルノー演じる老婦人の包容力なんです。
物語の序盤で老婦人マドレーヌが語る印象的なセリフがありました。
「ひとつの怒りでひとつ老い、ひとつの笑顔でひとつ若返る。若くありたいなら何をすべきかわかるでしょ?」
美しく、朗らかなマドレーヌにピッタリなセリフです。
でも、その後に続く言葉を語るマドレーヌの表情はこわばります。
「私も怒りには覚えがある。よく知っているわ」
マドレーヌの”怒り”の正体は一体何なのか。
きっとあなたもタクシーが目的地に近づくごとにドライバーのシャルルと同様、彼女の人生の物語に引き込まれ、共感するに違いありません。
人生は短いようで長く、長いようで短い。怒りを手放すこと。そして最後に「これで、よし」と自分の人生に〇(マル)を付けることが出来れば、全ては美しい旅路になるのだと思いました。
作品情報
- 2022年製作/91分/フランス
- 原題:Une bell course
- 劇場公開日:2023年4月7日
- 監督:クリスチャン・カリオン
- 出演:リーヌ・ルノー
ダニー・ブーン
【パリ13区】
続いての作品はジャック・オーディアール監督の「パリ13区」
13区はパリの中央を通るセーヌ河の南岸に位置している。ここは1970年代の都市再開発により生まれた高層マンションやビルが連なり、アジア系移民が多く暮らすことで知られている地区なのだとか。
確かにこの作品によってモノクロで映し出される13区は、無機質で多国籍な一面を見せています。一言でパリと言っても、全ての場所があのロマンチックな古都の姿をしているわけではないことを改めて感じました。
そして「パリ13区」は今までの2本とは違い、この地区で暮らす1人の男性と3人の女性が織りなす関係性によって彼、彼女なりの愛の形を見つけていく物語となっています。
予告を観た時からこの映画は劇場で観るぞ!と決めていたのですが、その決め手は音楽でした。
モノクロのパリ13区に合わせて流れるサウンドトラックが驚くほどカッコいい!これは劇場で観なくてはいけないネ。と思ったのでした。
という事で疾走感あふれる曲やエモーショナルな楽曲など、音楽も楽しめる作品になっています!
さらにフランス映画ならではの言葉の応酬も堪能出来るのですが、この映画に出てくる1人の男性と3人の女性がなんとも個性的で、人によってはちょっと受け入れがたい言動や行動をするキャラクターにいら立ちを覚えてしまう人もいるのかも。
でも私は、意外と自分の事ってわかっている様で分からないんだよな。という事と、どんなに言葉で遠回りしても、行きつく先はごくシンプルな愛の言葉なのだと改めて感じることができました。
個人的には田舎から出てきた素朴で純粋でちょっと世間知らずな女性とポルノスターとの関係性はとっても興味深かったです。
ちなみに本作品には脚本にセリーヌ・シアマもクレジットされているんですよ。
彼女は今大注目の女性監督の一人でもあります。いつかセリーヌ・シアマの作品も紹介したいな。
作品情報
- 2021年製作/105分/R18+/フランス
- 原題:Les Olympiades
- 劇場公開日:2022年4月22日
- 監督:ジャック・オーディアール
- 出演:ルーシー・チャン
- マキタ・サンバ
- 配信情報:U-Nextで配信中
(2024年8月現在)
いかがだったでしょうか?
今月の企画【映画が切り取るパリの顔】は以上の3本でした。
個人的にはこの企画をきっかけに「パリタクシー」を観ることが出来て良かったです!この作品は観終わった人とぜひ話をしてみたいですね。
あとは「パリ13区」を見直して、音楽の格好よさと登場人物たちの孤独をひしひしと感じました。でもきっと登場人物にイライラした人もいるはず 笑
そのイライラは観た人の普段の考え方や感じ方を刺激するからだと思うんです。だから、作品の良し悪しというよりも、誰の何をどう感じたのかを語り合ってみたいです。
そしてギヨーム・ブラック監督の作品にはまだまだおススメの作品もあるんですよ。
だから「徒歩5分の映画館」に併設するカフェはネタバレを気にせずに語り合える場所にしたいかな~、なんて考えています!
ではまた来週の企画でお会いしましょう♪ではではー!
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